サブプライムローンの「証券化」2

景気低迷のきっかけとなったと言われるアメリカの「サブプライムローン」。

低所得の人や信用度の低い人を対象にした住宅ローンですが、いくら住宅価格の上昇が背景にあったにしても、完済が難しいと思われる人々を対象にしたローンのリスクの高さは、客観的に見ればやはり明らかですよね。
 
ですがサブプライムローンはどんどん広められていき、それを元にした金融商品がどんどん出回るようになりました。

そのような商品を利用している人々は皆、強い危機感は感じることなく、「自分は大丈夫」という疑わしい安心感を持っていました。
 
なぜこのような事態を引き起こしたのでしょう。
そこには、「証券化」という金融技術が大きく関わっているのです。
 
日本ではあまり馴染み深くありませんが、アメリカでは、住宅ローンは転売されるのが一般的です。

融資を開始してからローンを転売することを目的としている貸し手のことを「モーゲージ・バンク」と呼んでいます。
モーゲージ・バンクは、どのようにローンを転売するのでしょう。

ここで使われるのが、「証券化」という仕組みです。
 
証券化とは、他に何もしていない名前だけの会社に資産を売却して、その会社が資産を購入するために証券を発行するという仕組みのことを言います。

この時発行される債券(借金)は、「RMBS」と呼ばれています。
RMBSは、「レジデンシャル・モーゲージ・バックト・セキュリティーズ」という長い呼び名の略語です。

RMBSは、主に保険会社や銀行など、機関投資家が投資対象となっています。
このRMBSが、サブプライムローン問題の大きな原因となったものだと言えるのです。

サブプライムローンに似た日本の住宅ローン

アメリカだけでなく、欧州や日本など、世界各国の経済事情に大きな影響を与えているアメリカの住宅ローン「サブプライムローン」ですが、日本の一般的な住宅ローンにも、サブプライムローンに似た危険性を持っているローンがたくさんあります。
 
サブプライムローンは、高金利ローンとして知られていますが、最初の数年間は低金利で利用しやすいという点が大きな特徴です。

低所得者でも気軽に借り入れしやすく、また金利が上がった時には不動産を担保に別のローンに借り換えることが容易だったために、たくさんの人に利用されていました。

結局、不動産の価値が下がり、また金利も上昇したことで返済できなくなる人が増えてしまいました。
 
不動産を売却しても回収することができなくなり、不良債権が増えることとなってしまったわけですが、最近の日本の住宅ローンは低金利競争が激しく、サブプライムローンのような借り入れしやすいローンが増えているのです。

ですがこうしたローンは、最初の3年や5年間は固定金利で安心ですが、それ以降は金利の優遇幅がかなり小さくなり、金利が上がって返済に苦労してしまう場合があります。

現在の日本では、住宅の価格は上向きなので、借りかえることも可能ですが、サブプライムローン問題のように、いつ状況が変わるか分かりませんね。

ローンの金利上昇による不安をなくすためには、目先の金利の低さにまどわされることなく、初めの金利は多少高めでも、10年以上の長期固定型のローンを選ぶことをおすすめします。

排除できない「サブプライムローン」

株価の下落を引き起こし、日本の経済事情にも大きな影響を与えている「サブプライムローン」。

収入が少ない人や、社会的に信用のおけない人に対しても、簡単な審査だけで利用することができるローンとして広められたアメリカの住宅ローンです。

当初の数年間は低金利で設定されているのですが、数年後には高金利となり、返済が苦しくなる利用者が多くなります。

金融会社にとっては、大きなリスクを持っているローンですが、日本にもこのようなサブプライムローンに似たローンがいくつか存在します。

誰でも手軽に利用することができて高金利、という点ではテレビCMでも話題にあがっている消費者金融と似ていますが、一般に消費者金融を住宅ローンとして利用する人はほとんどいないですよね。

住宅ローンとしては、主に外資系の金融機関が日本の地方銀行と提携して扱っているものがあります。厳しい審査を必要とすることなく利用できる住宅ローンとして、徐所に業界に進出してきています。

これらのローンはアメリカのサブプライムローンと同様、相当なリスクが心配されますが、ただリスクが高いだけのローンだとは言えない部分もあるのです。

自営業者の人や、新しく起業した人、転職したばかりの人など、返済能力は十分にあるのですが通常のローンでは審査基準に合わず、ローンを利用することができなくて困っている人がたくさんいます。

そのような人達にとっては、このようなローンは大きな役割をもつローンであると言えるでしょう。社会にとって、大切なローンであるということも、よく理解しておきましょう。

サブプライムローンの様々なサービス

アメリカの景気低迷となったサブプライムローンですが、住宅価格が上昇傾向にあった時期には、サブプライムローンはたくさんの人に利用されていました。貸し手側の販売競争もどんどん激化して、色々なサブプライムローンが出回るようになりました。

様々なサービスが登場し、返済額が一定限度額以上であれば、借り入れ当初の金利は自分で設定できる、などというようなびっくりするようなサービスもありました。

また、サービスとは少し違いますが、借り手の所得を公的な書類などで確認せずに契約する、などという傾向もありました。
 
所得を証明する書類が全く必要ないローンは「ノードック」ローン、公的な書類で確認した所得よりも、本人が自分で主張する所得の方が多い場合に、本人が主張している所得を認めてそこから融資額を決めるというのが「ロードック」ローン呼ばれるローンです。

それぞれの「ドック」はドキュメンテーション、「記録や証拠」という意味があります。ノードッグは記録や証拠が全くない、ロードッグのローは(低い)という意味を表し、完全に確認できない、という意味があります。

また、所得の確認だけでなく、本当に住宅の取得のためのローンであるのか、ということに対する確認まであいまいになっていきました。

驚くような話ですが、両者とも、住宅価格が上昇し続けていればそれほど問題ではなかったのです。

住宅を売却してしまえば十分に利益を得られる時代であったので、誰が持ち主であろうと関係はなく、貸して側は住宅さえ担保にしていれば安心し、とにかく貸し付けてしまおう、と考えていたのでした。
 

景気低迷の引き金となったアメリカのサブプライムローンですが、このローンが広められていた時代は、上昇し続ける住宅価格を背景に、様々なサービスを付加したサブプライムローンがありました。

ローン開始当初は驚くほど低い額での返済が可能であったり、所得証明があいまいであったりしてもすんなりと借り入れすることができるなど、びっくりするようなサービスがたくさんあったのですが、自己資金が全くなくても住宅を購入する人も増えていきました。

自己資金がない、ということは、住宅資金の全てを融資に頼るということですよね。
1つのローンから全額融資、というケースは少なかったのですが、2つ3つの住宅ローンを利用して、自分のお金を全く使うことなく住宅を購入する人は少なくなかったのです。

一般的に考えると自己資金が多いほど融資のリスクは少なくなります。
返済額が少なくなることもありますが、借り手の気持ちの面も考えられるのです。

ローンが返済できなくなって家を売却することになった場合、自己資金が多い人ほど自分の損失が大きくなりますよね。

借り手側は一生懸命に返済を続けようと頑張るわけです。
自己資金が全くない、ということは家を売却することになっても、自分の痛みはそれほどでもない、ということになるのです。

このようなことから通常では、自己資金ゼロという住宅融資はあまり存在しないのです。

ですが住宅価格が上昇し続けていた当時のアメリカでは、自己資金がないことは大きな問題ではないと考えられていました。
返済できなくなっても良いよ、という考えがあったのです。

これにより、ますますサブプライムローンを利用する人が増え、どんな人でもマイホームを持つ、ということが可能になっていったのです。

住宅ローンで失敗しないために

低金利で、株価の低迷が続く日本の経済事情ですが、これには様々な要因が考えられます。アメリカのサブプライムローン問題もその中の1つでしょう。
 
サブプライムローンは低所得者や社会的に信頼のおけないと判断された人でも、簡単な審査を受ければ利用できる住宅ローンです。たくさんの人が利用して広く普及された後、返済できなくなる人が増えたことが、景気低迷の引き金となりました。
 
住宅ローンで失敗しないためには、どのようなローンを選んだら良いのでしょう。

サブプライムローンは、借り入れ当初は低金利で使用しやすいのですが、数年後には金利が変化する「変動金利型」です。

住宅ローン利用時のリスクを少なくするためには、やはりこのような変動金利型のローンは避けた方が良いでしょう。

長期にわたる住宅ローンでは、「固定金利型」を選びましょう。
固定金利型は、「全期間固定金利型」と「段階金利型」に分けることができます。
 
全期間固定金利型は、文字通り、完済するまでの全期間で金利が変わらないタイプです。
 
低金利時に借りることができればお得です。毎月の返済額も分かりますし、将来の返済額もしっかり把握することができるので、将来の家計も管理しやすいですよね。老後の計画も考えることができます。
 
リスクの少ない全期間固定型ですが、金利が高い時期に利用する場合は注意が必要です。高金利でローンを組んだ後に金利が下降していく状態になると、下がった金利分、損をすることになってしまいますよね。

金利差が大きくなってきた場合は、借りかえることも検討してみましょう。

サブプライムに近い「オルタナティブA型」

景気を低迷させるきっかけとなったアメリカのサブプライムローン。

サブプライムとは、「プライム」ではない人という意味で、低所得の人や社会的に信頼のおけないとされる人達を意味しています。
 
通常のローンでは借り入れすることが難しいとされる人でも、手軽に利用することができる住宅ローンがサブプライムローンです。
 
例えばサラリーマンで一定収入があり、過去にクレジットカードの支払いなどで延滞がない人は、「プライム」ということになります。ほとんどの人が、プライムに属していると言えるでしょう。プライムの住宅ローンは「A型」とも呼ばれています。
 

プライムより信用度が低くなるにつれて、B型、C型と呼ばれていくわけですが、A型に近い存在だけどA型ではない部類として「オルタナティブA型」と呼ばれるものがあります。日本語に変えると「代替A型」となります。

A型に近いけれどA型ではない、とはどのようなものでしょう。

一般的に考えるとプライムに入るのですが、所得を公的に証明するものがないという場合や、住宅価格を的確に示すものがない場合は代替A型になります。
 
またセカンドホームを持つ場合もこれに含まれます。

このような利用者は、社会的な信用度が低ければサブプライムに属することになるのですが、実際には十分な返済能力を持っている場合がほとんどです。

ですが、信用度としてはサブプライムの次に位置づけられているため、A型のローンよりも高金利での貸し付けになります。貸し手側としては、オルタナティブA型は優良な借り手、ということも言えるのです。

サブプライムローンと日本の消費者金融

低所得の人や、社会的に信頼のおけない人に対しても、高金利で貸付をするアメリカのサブプライムローン。

ローンを返済することができなくなる人が増え、不良債権が増加し、景気低迷の一因となってしまいました。
 
日本でも、サブプライムローンに似たローンがたくさんあります。

高金利ですが厳しい審査を受ける必要がなく、手軽に利用できる点は、日本のサラ金に似ていますね。

サラ金はサラリーマンを対象としたローンであったことから、そのような呼び名が付いたようですが、現在ではサラリーマンだけでなく、主婦や学生まで、幅広い人が利用するようになっています。消費者金融とも呼ばれていますね。
 
消費者金融が多くの人に利用されるようになったのは、バブルが崩壊した後の1990年代頃です。

テレビコマーシャルがゴールデンタイムにも解禁となり、爽やかな女性がテレビCMをすることで明るいイメージが持たれるようになりました。
 
サブプライムローンは簡単な審査で利用することができますが、日本の消費者金融も同じです。

必要な書類はほとんどなく、運転免許証などだけで可能なところも多く、申請は、契約機を使ったり、インターネットや電話で可能な会社も多かったりと、直接人と顔を合わす必要がないので気軽に利用することができます。
 
ただ、無理な借り入れが原因で破産してしまう人も多く、社会問題となっている点もサブプライムローンと同じです。

大きく異なる点といえば、サブプライムローンは、不動産を得るための借り入れなので、金額が大きいという点です。

消費者金融では、1つの会社で限度額が決まっており、300万円程度となっています。
ですがいくつもの会社に借り入れしていては同じです。
将来設計をしっかりと見据えて、無理な借り入れはやはり禁物だということです。

私達の生活に影響を及ぼすサブプライムローン

アメリカのサブプライムローン問題は、アメリカだけでなく欧米や日本の金融市場にも様々な影響を与えています。

まだ,しばらくはこの問題は続くと考えられていて、今後、さらに色々なところに影響を及ぼすことが予想されています。
 
現在、私達の生活に直接大きな影響を与えていることといえば、ガソリン価格や、物価の高騰がありますよね。いったいいつまで続くの?と頭を抱えている人も多いかと思いますが、これらの出来事にはサブプライムローン問題が少なからず影響しているのです。
 
サブプライムローン問題によりアメリカの金融市場は低迷し、「ドル安」が進んでいます。ドル安になっているということは、米ドル価格での交換比率が不利になっているということで、その分供給される原油や資源の価格が上昇してしまうということになっているのです。原油や資源の価格自体が上昇しているのではなく、米ドルの価値が低下してしまったことを意味しています。
 
その他にも、ドル安は、日本の企業の競争心を奪うことにもつながってしまいます。

ドル安は、つまり円高ということですが、例えば自動車を例にとってみると、1ドル125円の時は、100万円の自動車は800ドルということになりますが、1ドル100円の円高になると、100万円で売るためには、実際には1万ドルで販売しなくてはいけないということになります。これでは企業側のやる気も失せてしまいますよね。
 
日本にとって景気低迷のきっかけとなるマイナス材料となるわけです。

サブプライムローンが引き起こした「株価の下落」

アメリカのサブプライムローン問題によって、アメリカの景気は低迷し、それによって日本の経済事情は様々な影響を受けています。

2007年から続いている、株価の下落もその中の1つです。
 
2007年終盤から、日本だけではなく世界の株式市場が低迷しています。

中でも日本の市場は、円高・ドル安という要素も加わって、2008年の日経平均株価では1万3000円を下回る場合もありました。

日本の市場はアメリカの市場と大きく関係しており、アメリカの市場が下がればそれに比例して日本の市場も下がる傾向にあります。ですがアメリカ市場が上がった場合は、残念なことに日本の市場はすぐには上がっていきません。

このままアメリカの市場の低迷が続き円高状態が続くことになると、日本の株式市場はますます悪化していくこととなってしまうでしょう。
 
外貨建ての商品についても注意が必要ですよ。

最近では海外資産を対象にした投資信託を利用する個人投資家も多いですが、当然ですがこれらの商品は、常に外貨の変動リスクにさらされていることになります。

米ドルに対しては円高が進んでいますし、人気があるオーストラリアドルやニュージーランドドルに関しても、円高傾向にあります。外貨預金や外貨建ての債権に投資していた人々は既に少なからず損失をこうむっているでしょう。

為替は相場なので、今後どのような動きをするのか分かりませんが、このまま円高傾向が続く可能性もあるので、外貨建ての商品に投資している人は、為替の差損について十分に注意しておきましょう。

サブプライムローン問題の「公的政策」

景気を低迷させる要因となったアメリカの「サブプライムローン」。

不動産価格が低下し不良債権が増え、金融機関が大きな打撃を受ける結果となりました。

2008年9月になり、ようやくアメリカ政府は株価が急落している「連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)」と、「連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)」の2社に公的資金を注入し、公的管理化におくことを発表しました。注入される資金額は数兆円にも及ぶとみられており、アメリカ史上、最大規模の救済劇となります。
 
日本では90年代から約15年続いた「不良債権問題」の際に、同じように公的資金導入や、一部の銀行の国有化など、様々な政策がとられていました。

問題が発生した当初は、民間の金融機関は情報開示に消極的で、自分達の力で回復できそうな、でもやっぱり無理かな・・・というような、宙ぶらりんの状態でした。

結局最後に行われた公的資金導入による政策は、それまでの穴埋めをするような形となりました。
 
日本の例を考えてみても、一般的に、金融不安を解消するための公的政策は、問題が表面化してからなるべく早い方が良いと考えられています。

ですがサブプライムローンのような大規模な問題において、アメリカ政府の公的政策が遅くなったのはどうしてなのでしょう。
 
アメリカでは、通常、政府は手助けしてくれないもの、として考えられているのです。

損害が出たらとことん落ちてしまうのですが、それを自分達の力で回復しようという強い精神を持っていたのです。
 
ですが、今となってアメリカ政府が公的政策を開始した、ということは、それだけサブプライムローン問題が深刻化していることを意味しています。

今後もこの問題の解消に向けて、アメリカ政府は様々な手段をとっていくことが予想されています。
 
日本の景気回復に大きな影響を与えることとなる、アメリカ政府の動きにこれからも注目していきましょう。